心理的安全性の高い職場の作り方|企業ができる具体的な取り組み
「会議で意見が出にくい」
「発言するのは、いつも同じメンバー」
「若手や女性社員が、どこか遠慮しているように感じる」
このような職場の空気に、違和感を覚えたことはありませんか?
立場や年齢に関係なく社員が自分の考えを持ち寄り互いに補い合いながら働ける環境は、業務の質を高めるだけでなく離職やメンタル不調の予防にもつながります。
心理的安全性は、上司や管理職の関わり方や意見を言いやすい場を見直すことで、少しずつ高めていくことができます。
この記事では、心理的安全性について・なぜ心理的安全性を高める必要があるのか・職場でできる具体的な取り組みについて解説します。
あなたの企業で社員が過ごしやすい環境をつくるきっかけになりますと幸いです。
目次
職場の心理的安全性とは?
心理的安全性とは、このチームなら意見や不安を話しても人間関係が悪くなる心配はないと、社員が安心できる状態のことを指します。[1]
立場や経験に関係なく、自分の考えを伝えたり分からないことを質問したりできる雰囲気があるかどうかがポイントです。
心理的安全性の高い職場では、社員の意見交換や相談が増え、チーム内の相互信頼が高くなります。[2]
その結果、意欲や成果が高まり、業務改善や新しいアイデアも生まれやすくなるでしょう。
Google が行った「Project Aristotle(プロジェクト・アリストテレス)」でも心理的安全性の高さが注目されています。
効果的なチームは「誰と同じメンバーなのか」よりも「チームがどのように協力しているか」が重要で、これには心理的安全性が高いことが大きな要因となります。[3]
ここで言う心理的安全性は、決して「甘い職場」や「ぬるま湯の職場」を意味するものではありません。
心理的安全性の高い職場とは、不安を感じやすい場面でも「このチームなら安心して行動したり発言できたりする」と社員が思える職場です。
社員が安心して意見を言える環境を整えることは、メンタルヘルス対策に限らず、組織の生産性やチーム力を高めるうえでも、企業にとって大切な取り組みといえるでしょう。
心理的安全性が低い職場で生じる4つの不安
心理的安全性が低い職場では、社員が発言や行動を控える背景に以下の4つの不安があります。[4]
①無知だと思われる不安
質問や確認をしたくても、「こんなことも知らないのか」と評価されるのではないかと感じ、発言をためらってしまう。
②無能だと思われる不安
ミスや失敗をしたときに、「能力が低い」と思われるのではないかと不安になり、失敗を認めなかったり報告を遅らせたりする傾向が生じる。
③邪魔をしていると思われる不安
自分が発言することで「話の流れを止めてしまうのではないか」と感じ、提案や意見を控えてしまう。
④ネガティブだと思われる不安
改善の提案をしたくても、もとの意見を批判していると受け取られるのではないかと心配になり声を上げにくくなる。
このような不安が積み重なると、「否定されたくない」「目立ちたくない」という気持ちになり、会議で沈黙が増えたり問題があっても隠したりするのです。
なぜ職場に心理的安全性が必要なのか|高めるメリット
心理的安全性を高めるメリットには以下のようなことが挙げられます。[2]
- 社員の意欲や成果が高まる
- チーム内の相互信頼が高まる
- メンタル不調の早期発見や軽減になる
- パワハラの予防になりやすい
誰もが安心して発言できる環境があるからこそ、意見交換ができチーム内の信頼も高まり業務パフォーマンスが高くなるでしょう。[5]
また、心理的安全性が高くなると、上司と部下のコミュニケーションが多くなります。
その結果、パワハラ予防やメンタルの不調の早期発見や軽減にもつながるのです。[2]
心理的安全性は、組織の成果を出し続けるために欠かせません。
社員が安心して意見を出せる環境は、組織の持続的な成長を支えてくれるでしょう。
職場でできる心理的安全性の取り組み
心理的安全性を高めるために職場でできる取り組みは、以下の3つが挙げられます。[1]
一度にすべてを変える必要はありません。
必要に応じて産業医と連携しながら取り組むことで、より効果のある職場づくりにつながります。
上司や管理職で日常の言動を見直す機会をつくる
心理的安全性を下げる言動の多くは、忙しさや責任の重さの中で無意識に「当たり前」になっている口調や態度です。
たとえば、「前にも言ったよね!?」「普通はこう考えるんじゃない?」と言ったり、社員が話している途中で結論をまとめたりするような言動です。
このようなやり取りは、「意見を言っても意味ない」「間違えてたら怒られるかも」と社員の士気を下げるきっかけになりかねません。
理想は、部下が上司に安心して相談やお願いができ必要なときには無理をせずに断れる関係性です。
そのためには、相互尊重できる「アサーティブコミュニケーション」を取り入れましょう。[6]
たとえば、次のように言い換えるだけでも印象は大きく変わります。[7]
✕「なんでできていない?」
〇「どこで止まっているか教えてもらえる?サポートが必要なら教えてね。」
✕「どうして確認しなかったの?」
〇「次は早めに共有できるように、どうすると助かる?一緒に考えさせて。」
✕「もっといい案ないの?」
〇「まだ話していない人の考えも聞いてみたいです。」
上司や管理職が対話を重ねる姿勢を見せたり、上司から部下に「ホウレンソウ」をしたりすることで、職場全体の空気を少しずつ変えるきっかけになります。
さらに、無意識な言動に気づくためには、管理職同士で意見交換する機会をつくることも有効です。[1]
- 「つい言ってしまいがちな言葉」を共有する
- 言い換え例を持ち寄る
- 会議で発言が少ないときの工夫を話し合う
管理職同士で話し合う場をつくることで「自分だけではなかった」という安心感が生まれ、言動を見直しやすくなります。
あわせて、心理的安全性をテーマにした勉強会や資料共有をすると、職場全体の意識を高めるきっかけにもなるでしょう。
定期的に話し合いの場を設け安心して意見を出せる環境をつくる
職場の心理的安全性を高めるには、チーム内で定期的に話し合う機会をつくり、継続して取り組むことが大切です。
ある企業の事例では、毎週テーマを定めてメンバー全員が集まり、チーム活動の改善策について話し合う対話を継続的に実施した結果、心理的安全性が向上したことが示されています。[1]
たとえば、以下のような内容を話し合ってみましょう。
- 最近うまくいった・うまくいかなかった取り組みを共有する
- 今の業務で困っていることについて話し合う
- 業務改善のアイデアを出し合ってみる
このような話し合いを定期的に重ねることで、「ここでは意見を言っても大丈夫なんだ」という認識が育っていきます。
話し合いを単発で終わらせるのではなく、定期的に続けることで意見を伝えることが「普通のこと」として認識されていくでしょう。
1on1で「安心して本音を話せる関係」をつくる
心理的安全性を高めるには、チーム全体での対話だけでなく、上司と部下が1対1で話せる時間をつくることも大切です。
厚生労働省の資料でも、1on1ミーティングは上司と部下の関係性がよくなり、両方のモチベーションが上がると示されています。[2]
1on1ミーティングによって生じた職場の変化は以下のとおりです。

出典:良質な「働く」を広げる 情報とコミュニケーション 2023.5.25 中村 天江p10|厚生労働省
こうした1on1ミーティングを継続することで、「この上司になら本音を話しても大丈夫」という安心感をもてるきっかけになります。
1on1ミーティングは、ただの業務報告の場ではありません。
部下が感じている違和感や迷いに気づいたり、早い段階で悩みを共有できたりする機会にもなります。
まとめ|心理的安全性を高めて働きやすい職場づくりをしよう
心理的安全性とは、失敗や質問、率直な意見を伝えても人間関係が悪くならないと社員が安心できる状態のことを言います。
安心して自分の意見が言えるからこそ、意見交換が活発になりチーム内の信頼が深まり、業務パフォーマンスが高くなるのです。
一方で、心理的安全性が低い職場では、「無知だと思われたくない」「否定されたくない」のような不安から、会議での沈黙や問題の先送りが起こりやすくなります。
それは、生産性の低下だけでなく、メンタル不調やパワハラのリスクにもつながりかねません。
もし心理的安全性の取り組み方に迷ったときは、社内だけで悩まずに外部の産業医も活用して、あなたの職場にあった健康経営を一緒に考えていきましょう。
心理的安全性を高めることは、社員の安心と組織の成果の両方を守ることにつながります。
働きやすく、意見が交わされる職場づくりに向けて「ここさぽ」と一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
[1] 組織の「心理的安全性」構築への道筋|山口 裕幸https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsqsh/15/4/15_366/_pdf
[2] 良質な「働く」を広げる 情報とコミュニケーションp9|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001100337.pdf
[3] Google re:Work – ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知るhttps://share.google/YBms6ePcmiGRBO2Pm
[4] 「心理的安全性」について|松村晃秀
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacsurg/39/7/39_557/_pdf
[5] 健康経営における「心の健康」投資・実践ガイド今日から始める人的資本への投資のヒント|経済産業省
kokoronokenkojissenguide.pdf
[6] 言い方ひとつで変わる会話術|厚生労働省
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/manager/conversation-technique
[7] 言いかたひとつで変わる会話術【第5回】「部下を育てる・後輩を指導する」|厚生労働省
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/manager/conversation-technique/c5