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職場のインフルエンザ対策について


毎年、冬になるとインフルエンザが猛威を振るいますが、今年は例年よりかなり早い時期から患者数の増加がみられています。新型コロナウイルス感染症の報告数は現在も多い状態が続いており、今後、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行が懸念されます

インフルエンザにかからない・職場で感染を広げないために、インフルエンザについて職場で知っていてほしい情報をまとめました。職場の対策の一助になれば幸いです。

★契約企業様には、最新の情報をプラスした講話の実施と社内レターの発行を行っています。

インフルエンザについて

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる呼吸器感染症で、毎年とても多くの人が罹患する病気です。 症状は突然の38℃以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感など全身の症状が強いことが特徴で、気管支炎や肺炎を併発して重症になることもあります。年によって異なりますが、死亡者が毎年2~3千人にも上り、特に高齢者、慢性疾患(心疾患、肺疾患、腎疾患)や糖尿病のある方、乳児や妊婦は合併症を起こしやすいので注意が必要です。職場で感染が拡大すると、業務に大きな支障が生じてしまうこともありますので、会社でしっかり対策を行うことが大切です。

インフルエンザの種類

人が感染するインフルエンザはA、B、C型の3型がありますが、流行的な広がりをみせるのはインフルエンザはA型とB型です。A型は変異しやすく、抗体が働きにくいため、何度も感染し、症状が強くなりやすいという特徴があります。それに対してB型は症状は穏やかだが、長引きやすいです。

A型の中でも複数の種類(亜型)があり、それぞれが同時に流行することがあるため、同じシーズンのうちにA型インフルエンザに2回かかったり、A型とB型両方にかかることがあります。また、同じ亜型の中でも常に変異しているため、何度も同じ亜系のインフルエンザにかかることもあります。
つまり、インフルエンザはワンシーズンで1度だけではなく複数回かかる可能性があるのです。

インフルエンザの感染経路

インフルエンザの感染経路は主に2つあります。

一つは、感染した人が咳やくしゃみをすることで排泄するウイルスを含む飛沫が飛散し、これを鼻や口から吸いこんでウイルスが粘膜に接触して感染する「飛沫感染」です。しぶきは最大2メートルしか飛ばないため、マスクや距離をとるのが予防に有効です。

もう一つは、感染者が触れた物に触れることによる「接触感染」です。例えば、感染者が手を洗わないままドアノブやスイッチにふれ、付着したウイルスを健常者が目や鼻を触ったり、食事の際に体内に取り込んでしまったりすることで感染します。

特に冬は湿度が低く空気が乾燥しているためウイルスが比較的長い時間空気中を漂いやすいこと、体温が下がって体の抵抗力が落ちることから、ウイルスが体内に侵入して感染しやすくなります。
そのため、冬に飛沫感染・接触感染を通して感染が拡大しやすいのです。

インフルエンザの治療

症状に応じた対症療法に加えて、医師の判断で抗インフルエンザウイルス薬や抗生剤などが処方されることがあります。インフルエンザは重症化することもありますので、単なる風邪だと考えずに、まずは受診をして診断を受けましょう。

受診して診断と処方されたら、

• 安静にしてしっかり休養しましょう。睡眠を十分にとりましょう。

• 水分をしっかりとりましょう。お茶やジュース、スープなど飲みやすいもので大丈夫です。

•マスクを着用し、無理に出勤をせず、外出を控えましょう。

• 処方薬は用法・容量を守って正しく服用しましょう。

一般的な迅速診断キットは、発症後12時間以上経過後に正しく検査結果がでるとされています。ただし、症状が重くてつらい場合は12時間経っていなくても病院を受診してかまいません。

抗インフルエンザウイルス薬には、内服薬のタミフルとゾフルーザ、吸入薬のリレンザとイナビル、点滴薬のラピアクタがあります。抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に使用を開始すると、発熱が1~2日短縮され、ウイルス量も減少します。48時間以上経ってからでは効果が期待できないので、放置せず早めに受診するようにしましょう。

解熱剤についてインフルエンザの感染が疑われるときは安易な市販薬の使用は避けましょう。医療機関を受診して、処方された薬を内服してください。また、小児はアセトアミノフェン製剤を使用してください。

異常行動について

抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類に関わらず、インフルエンザに罹ったときは、店頭などの大きな事故を起こすリスクのある異常行動が現れることがあります。

(異常行動の例)

•突然立ち上がって部屋から出ようとする

•興奮して窓を開けて飛び降りようとする

・人に襲われるような気がして外に走り出す

・自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない

・変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を歩き回る      など

異常行動と関連すると考えられる転落死等も報告されています。
異常行動は①小学生以上の小児・未成年者の男性で報告が多い(女性でもあらわれる)②発熱から2日以内に現れることが多いことが知られています。

万が一の事故を防止するために、発熱から少なくとも 2 日間は、就寝中を含め、特に小児・未成年者が容易に住居外へ飛びださないように具体的な対策をすることが大切です。

家で用意しておくとよいもの

□マスク(不織布マスク) 感染者も看病する人も、屋内でもマスクを使用しましょう

□飲み物経口補水液、スポーツドリンクやゼリー飲料、スープなどご自身が飲みやすいもの

□食料品食欲があれば、柔らかくて消化がよく、口当たりの良いものをたべましょう。レトルトのおかゆや冷凍うどん、スープがあると便利です。

□消毒液インフルエンザウイルスはアルコール消毒が有効です。共有する場所はこまめな消毒と手洗いを行いましょう。

□加湿器部屋の湿度を50~60パーセントに保ちます。1日数回部屋の換気も行います。

□使い捨ての手袋・エプロン・帽子

□大小ビニール袋

□体温計

□検査キット(コロナ・インフルエンザ)    など

普段から多めに購入してストックしておき、日常生活で使用多分だけ新しく買い足していくローリングストックがおすすめです。突然の不調に備えて、ふだんから準備しておきましょう。

一般的な予防策

なるべく流行前にインフルエンザワクチンを接種し、正しいマスク着用や手洗い・うがいなど日ごろから感染予防に努めることが大切です。

そして、インフルエンザが流行したら、

・ 人込みや繁華街への外出を控える(特に高齢者や持病のある方)

・ 外出時には不織布マスクを使用し、人と距離をとる

• 加湿器などを使用して室内を適度な湿度(50~60%)に保つ

•  十分な休養、バランスの良い食事をとって、免疫力を高める

• うがい、手洗いを励行する

•  咳やくしゃみのある方は咳エチケットを守る

ようにしましょう。

インフルエンザワクチンについて

インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化予防」です、また、発病を必ず防ぐわけではありませんが、一定の発症予防効果も期待できます。
ワクチンの有効性は接種の約2週間後から5か月程度持続するため、接種希望の方は毎年流行の前に接種することをお勧めします。

・65歳以上の方や基礎疾患がある方

・心臓、血管系疾患を持っている方(高血圧だけの方を除く)

・糖尿病・肝臓・腎臓などの疾患を持っている方

・慢性呼吸器疾患を持っている方(気管支ぜんそくやCOPDなど)

・疾患や治療に伴う免疫抑制状態の方(HIVや悪性腫瘍、関節リウマチ、膠原病治療中など)

・妊娠中の方

・著しい肥満の方

上記の方は重症化しやすいので、主治医と相談して接種するかどうか決めて下さい。

インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同日に接種することが可能です。それぞれ単独で接種した場合と比較して、有効性及び安全性が劣らないとの報告もあります。

もし接種後に体調に異変が生じた場合はすぐに医療機関に相談してください。

会社で感染を拡げないために

社内で感染が拡大して複数の方が療養に入ると、業務に大きな支障がでてしまう可能性があります。そうならないように、企業では集団感染を防ぐための対策を予め講じておくことが必要です。

・従業員各々がインフルエンザの正しい知識を持ち、個人でできる予防を周知、励行する

・ 常に最新情報の取得し、提供するように心がける

・ 感染者が出た場合にすばやく対応できるように、衛生委員会などを活用して企業にあったインフルエンザ対策をあらかじめ決めておく

・接触感染予防に速乾性の消毒アルコールを設置し、手洗い時などの手指消毒を習慣化するよう指導する

・ドアノブや手すり • パソコン• トイレまわりなど、よく触る場所を定期的に消毒する

・事業場内の湿度が低い場合は、加湿器を使用して適切な湿度(50~60%)を保つ

・ 咳エチケットを周知徹底する

インフルエンザワクチン(任意接種)については、保険組合や自治体が補助を出している場合があります。会社によっては、ワクチン接種費用の一部を補助をしたり、社内で接種機会を設けている企業もあります。

日ごろからインフルエンザに限らず、体調が悪い時に休めるような企業風土を育てることも大切です。

事前の備えをしっかり行い、感染者が発生したときに慌てたり感染拡大させたりすることがないようにしましょう。

感染者の出勤の可否について

企業は出勤の可否について法的な基準はありません。

しかし、インフルエンザに感染している従業員が出社してしまうと、社内で感染が広がる可能性があるため、企業としては集団感染を防ぐための対応が必要です。

衛生委員会などで「インフルエンザと診断されたときに何日休むか」「会社にどのように連絡するか」などルールを決めて、周知しておきましょう。

〈参考〉

学校保健安全法の出席停止の期間の基準:インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)は「発症後5日間が経過し、かつ解熱後2日間」

社内での感染拡大を防ぐには、あらかじめ会社全体でルールを決めて周知することが大切です。

おわりに

インフルエンザは毎年多くの方が罹患し、重症化することもある病気です。インターネットや噂などの不確かな情報に左右されず、正しい知識を身につけて、感染しない・感染させないために、流行前からしっかり予防を行いましょう。
企業では職場内で感染が拡大することを防ぐために、あらかじめ企業全体でルールを決定し、従業員に周知しておくことが大切です。
個人も企業も事前の備えを行っておくと安心です。

★ウイルスは日々変化し、社会情勢によっても必要な対応は変わってきます。常に政府や自治体の発表を確認し、最新情報に基づいて適切な行動をとるようにしてください。

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